甲木は春に生まれると、葉を茂らせ勢いがありますが、秋の生まれは、少し違う意味合いになります。乾燥した秋は、金の気が強いので、木を刃物で切り刻んで火を点けその炎で周囲を暖めるめるという役目になる場合があります。つまり、自分を育て世に成功していく姿でなく、自分を切り刻んでも人の心を温めていく姿です。
大分以前ですが、公文の教室で経営者の助手をしていたことがあります。経営者が手が掛かって時間を取られる子供さん達の勉強の面倒を別室で見るという仕事でした。そのときこんな出会いをしました。双子の男兄弟の弟の方のK君です。兄の方は優等生タイプ、彼はその影に隠れてひっそりとしたタイプでした。でも二人は本当に仲の良い兄弟でした。
「60を2で割ると・・?」「・・・?」「じゃあ、60円を二つに分けると?・・・w。w・・・30円?・・」wそうそう。w。小五のとき、こんな感じで始まりました。算数が苦手で、暴れたり、そのまま寝てしまったり、最初はほとほと手を焼きました。でもプリントをこなす集中力はなくても、余白にさりげなく味のある漫画を描く男の子でした。私はその漫画のファンでした。それから四年、中三になって受験用の塾に行くと言って公文をやめていくまで私の前でプリントをしていました。
中一位になると進度は遅くとも少しずつ落ち着いて取り組んでくれるようになりました。ある日、じっと私の顔を見て、w僕、数学できるようになるかな・・?」と真剣な眼差しで聞いてきました。w大丈夫だよ。K君のペースでやっていけばいいんだから」と答えると、「うん」と頷いてにっこりしました。そのほっとしたような笑顔を見たとき、私自身のこの世の役割を彼に教えられたような気がしたのです。人の心を温める、ヒーラーとして生きていこうと・・。
私は、甲木の秋の生まれです。