偶抱一琴身特建

2006年10月30日

Category : My Diary

昨日、浦上玉堂展に行ってきました。
50歳で脱藩するまで岡山に住んでおられた鴨方藩の武士ですが・・・
詩歌、音楽、書、画を嗜み、その後は出奔、絵を描き、琴を弾き、友人や好事家の所を転々とした。会津・熊本・大坂・水戸・高山・金沢・堺などに足跡が残る。
とあります。
江戸時代にも、藩籍を捨て、風雅の道に生きようとした人物がいたのですね・・・。
おそらく、官殺よりは食傷の星の人だったのでしょう。
南画の影響を受けた水墨画の筆致は、のびやかで屈託なく、こちらの気持ちまで洗われるよう。
とおりかかった絶句の詩文にとても惹かれたので、メモに写し取らせていただこうとしましたら、傍におられた係員の方が近づいて来られ「この鉛筆を使っていただくのであれば、写していただいて構いません」
ということでしたので、そうさせていただきました。
 隷書七言絶句
 老去孤独以無栖
 酔去行吟以巳低
 偶抱一琴身特建
 尋山尋水九州西
焦って写し取ったので、2行目は正確ではないやも知れず、ですが・・・
70歳位の作品だそうです。
典雅で、華麗、なんとも澄み渡った筆致ですし、なにより詩文が素敵でしょ。
玉堂のリベラルな生き方を朗々と詠い上げていて、心惹かれました。

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